2010/09/12

【書き下し文】慈恵亡国(韓非子)

魏の恵王卜皮に謂ひて曰はく、「子寡人の声聞を聞くこと亦何如。」と。
対へて曰はく、「臣王の慈恵なるを聞けり。」と。
王欣然として喜びて曰はく、「然らば則ち功且に安くにか至らんとする。」と。
対へて曰はく、「王の功は亡ぶるに至らん。」と。
王曰はく、「慈恵は行ひの善なるものなり。
之を行ひて亡ぶとは何ぞや。」と。
卜皮対へて曰はく、「夫れ慈とは忍びざるにして、恵とは与ふるを好むなり。
忍びずんば則ち過ち有るを誅せず。
予ふるを好まば則ち功有るを待たずして賞せん。
過ち有りて罪せず。
功無くして賞を受く。
亡ぶと雖へども亦可ならずや。」と。

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