2010/09/11

【現代語訳】曳尾於塗中(荘子)

荘子は濮水で釣りをしていた。
楚王が二人の使いが先に遣わして、王の意向を伝えさせた。
「どうか国内の政治についてあなたの手を煩わせたい。」
荘子は竿を握ったまま、ふり向きもせずいった。
「話に聞けば、楚の国に霊験あらたかな亀がいて、死んでからもう三千年にもなるという。
王はそれを大切に布で包み、箱に収めて、霊廟の御殿の上に保管されている。
この亀の身になれば、かれは殺されて甲羅を留めて大切にされることを望むであろうか、それよりは、いっそ生きながらえて泥の中で尾をひきずることを望むであろうか。」と。
二人の使いは、「それは、やはり生きながらえて泥の中で尾を尾をひきずることを望むでしょう。」と答える。
荘子はこう言った、「お帰りなさい。わたしもまさに尾を泥の中にひきずろうとするのだ。」

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